個人再生は借金を最大80%も減額できる強力な制度ですが、誰でも利用できるわけではありません。特に大きなハードルになるのが「収入」の条件です。「自分の収入で本当に個人再生できるのかな?」と不安に感じている人も多いのではないでしょうか。
この記事では、個人再生に必要な収入条件を具体的な金額や計算例を交えて徹底解説します。パートやアルバイト、年金受給者でも利用できるケースがあるため、「自分は無理かも…」と思っている人もぜひ最後まで読んでみてください。

個人再生の基本的な3つの条件
条件①:住宅ローンを除く借金が5000万円以下であること
住宅ローンを除いた借金の総額が5000万円以下であることが必須条件です。消費者金融、カードローン、クレジットカード、事業資金などをすべて合算した金額で判断されます。5000万円を超える場合は、通常の民事再生手続きを検討することになります。
条件②:将来にわたって継続的・反復的な収入があること
これが個人再生で最も重要な条件です。法律上の表現で「将来にわたって継続的に又は反復して収入を得る見込みがあること」が求められます。
ただし、ここで言う「安定した収入」は正社員の給与だけを指すわけではありません。パートやアルバイトの給与、年金、さらには個人事業主の事業収入でも、継続的に得られる見込みがあれば問題ありません。
条件③:再生計画に従った返済が可能であること
減額された借金を原則3年(最長5年)で返済できるだけの余裕が必要です。つまり、毎月の収入から生活費を差し引いた残り(可処分所得)で返済を続けられるかどうかがチェックされます。

具体的にいくらの収入が必要?計算方法と実例
基本的な計算の考え方
個人再生が可能かどうかの判断は、シンプルに言えばこの式で考えます。
月収 − 生活費 − 住宅ローン ≧ 再生計画の月額返済額
この不等式が成り立てば、個人再生の利用が見込めます。では、具体例で見ていきましょう。
具体例1:単身者で借金300万円の場合
借金300万円は個人再生で100万円に減額(最低弁済額)されます。3年分割で月々約2.8万円の返済になります。
生活費が月15万円だとすると、月収18万円以上あれば計算上は利用可能です。手取りで18万円ですので、額面だと22万円前後が目安になります。
具体例2:家族4人で借金500万円+住宅ローンありの場合
借金500万円は個人再生で100万円に減額されます。月々約2.8万円の返済です。住宅ローンが月8万円、家族4人の生活費が月22万円だとすると、月収33万円以上(手取り)が必要になります。
住宅ローンと生活費と返済をすべて賄える収入が求められるため、住宅ローンがある場合はハードルが上がります。
具体例3:借金1000万円の場合
借金1000万円は個人再生で200万円に減額されます。3年分割だと月々約5.6万円の返済です。生活費が月18万円なら、月収24万円以上は欲しいところです。
返済期間を最長の5年にすれば月々約3.3万円まで減らせるため、収入に不安がある人は5年計画を検討するのも手です。
具体的にいくらの収入が必要かは、借金額・生活費・住宅ローンの有無によって一人ひとり異なります。自分のケースで計算してみて、不安なら弁護士の無料相談で試算してもらうのが確実です。
小規模個人再生と給与所得者等再生の違い
小規模個人再生(ほとんどの人が利用する方法)
個人事業主でも会社員でも利用できる、最もポピュラーな方法です。債権者の過半数の同意が必要ですが、返済額が少なく済むことが多いのが最大のメリットです。
実際には、債権者が反対するケースはそこまで多くないため、大半の人はこちらを利用しています。
給与所得者等再生(サラリーマン向け)
サラリーマンなど安定した給与収入がある人向けの方法です。最大のメリットは債権者の同意が不要なこと。反対されるリスクがありません。
ただし、「可処分所得の2年分以上を返済する」というルールがあるため、返済額が小規模個人再生より高くなりがちです。債権者が反対しそうな場合の保険として選ばれることが多いです。
どちらを選ぶべき?
基本的にはまず小規模個人再生を検討し、債権者が反対しそうな場合(過去に同じ債権者とトラブルがあったなど)に給与所得者等再生を選ぶという流れが一般的です。弁護士が状況を見て最適な方法を提案してくれるため、そこは任せて大丈夫です。
参考:裁判所 – 個人再生手続

収入が不安定な人は利用できないの?
パート・アルバイトでも個人再生は可能
パートやアルバイトでも、1年以上継続して勤務していて、今後も同程度の収入が見込める場合は個人再生を利用できます。ポイントは「継続性」と「安定性」です。短期バイトを転々としている状態だと難しいですが、同じ職場で安定して働いているなら問題ないケースが多いです。
年金受給者も利用できる
年金は「継続的・反復的な収入」に該当するため、年金受給者でも個人再生は利用可能です。年金額から生活費を差し引いて返済に回せる金額があるかどうかがポイントになります。
個人事業主・フリーランスの場合
個人事業主やフリーランスでも、過去の確定申告で継続的な収入があることを証明できれば利用できます。ただし、収入が大きく変動する業種の場合は、裁判所に安定性を認めてもらうために、過去2〜3年分の確定申告書が求められることがあります。
完全に無収入の場合は不可
残念ながら、無収入の状態では個人再生は利用できません。返済能力がないと判断されるため、この場合は自己破産を検討することになります。ただし、就職活動中で近い将来に収入が見込める場合は、弁護士に相談してみる価値はあります。
参考:日本弁護士連合会
「収入が足りないかも」と自己判断で諦めるのは早すぎます。返済期間を5年に延ばしたり、生活費を見直すことで条件をクリアできるケースもあります。まずは弁護士に具体的な数字を見てもらいましょう。
よくある質問(Q&A)
Q. 個人再生中に収入が減ったらどうなる?
A. 再生計画の認可後に収入が減って返済が困難になった場合、返済期間を最長2年延長する「再生計画の変更」を申し立てることができます。また、やむを得ない事由がある場合は「ハードシップ免責」で残りの返済を免除される制度もあります。
Q. 夫婦で共働きの場合、配偶者の収入も考慮される?
A. 個人再生は申立人本人の収入で判断されるのが原則です。ただし、家計を共にしている場合は、世帯全体の収支で返済能力を判断されることもあります。配偶者の収入があることで有利に働くケースもあります。
Q. ボーナス払いの設定は可能?
A. 再生計画でボーナス月に増額返済を設定することは可能です。毎月の返済額を抑えつつ、ボーナス時にまとめて返済するプランを組むことができます。ただし、ボーナスが確実に支給される見込みがあることが前提になります。

まとめ
個人再生の収入条件は「減額後の借金を3〜5年で返済できる安定した収入があること」です。正社員でなくても、パート・アルバイト・年金受給者・個人事業主でも、継続的な収入があれば利用できる可能性があります。
必要な収入額は借金の金額や生活費、住宅ローンの有無によって一人ひとり異なるため、自分が条件を満たすかどうか不安な人は、弁護士の無料相談で具体的な試算をしてもらいましょう。個人再生で人生をリスタートする道は、思っているより開けているかもしれません。

