複数の借入先がある場合、「どの借金から先に返すべきか」は非常に重要な判断です。返済の優先順位を間違えると、利息ばかり膨らんで元金がなかなか減らないという悪循環に陥ります。
基本原則は「金利が高い借金から優先的に返済する」ことです。ただし、金利だけでなく「滞納リスク」「担保付きかどうか」なども考慮する必要があります。
この記事では、借金返済の優先順位の決め方を具体的に解説し、最も効率的な返済戦略を紹介します。

借金返済の優先順位の基本ルール
最優先:税金・社会保険料の滞納
税金(所得税、住民税、固定資産税)や社会保険料(国民健康保険、年金)の滞納は最優先で解消してください。税金は自己破産しても免除されず、強制的な差し押さえ(給与、預金、不動産)が行われる可能性があります。
第2優先:住宅ローン
持ち家がある方は、住宅ローンの返済を優先すべきです。住宅ローンの滞納が続くと、抵当権の実行により自宅が競売にかけられます。
第3優先:高金利の借金
金利が最も高い借金から優先的に返済する「雪だるま式返済法(アバランチ法)」が最も利息の総支払額を抑えられる方法です。
| 借入先 | 金利の目安 | 優先度 |
|---|---|---|
| 消費者金融 | 15〜18% | 高 |
| クレジットカード(リボ払い) | 15〜18% | 高 |
| 銀行カードローン | 3〜14% | 中 |
| 自動車ローン | 1〜9% | 低〜中 |
| 住宅ローン | 0.5〜2% | 定額返済 |
| 奨学金 | 0〜3% | 低 |
消費者金融やリボ払いの金利(15〜18%)は、住宅ローン(0.5〜2%)の10倍以上。高金利の借金を先に返すだけで、利息の負担が劇的に減ります。
2つの返済戦略:アバランチ法 vs スノーボール法
アバランチ法(金利が高い順)
金利が最も高い借金に余剰資金を集中させる方法です。数学的に最も利息を抑えられるため、総支払額を最小化したい方におすすめです。
具体例で見てみましょう。消費者金融A社(残高50万円、金利18%)と銀行カードローンB社(残高100万円、金利8%)の2つの借金がある場合、毎月の余剰資金1万円をA社に集中して返済します。A社を完済した後、B社に集中して返済に切り替えます。この方法で返済した場合と、均等に分けた場合では、利息の総額に10万円以上の差がつくことがあります。
スノーボール法(残高が少ない順)
残高が最も少ない借金から先に完済していく方法です。「借入先が1つ減った」という達成感が得られるため、モチベーションを維持しやすいのがメリットです。たとえば、A社(残高10万円)、B社(残高50万円)、C社(残高80万円)の3社から借入がある場合、まずA社に余剰資金を集中して完済し、次にB社、最後にC社という順番で返済していきます。行動経済学の研究でも、「小さな成功体験」が継続的な行動変容を促す効果が確認されており、特に返済のモチベーションが続かない方にはスノーボール法が効果的です。
どちらを選ぶべきか
数字の上ではアバランチ法が有利ですが、返済を続けるモチベーションも重要です。自分の性格に合った方法を選びましょう。

返済の優先順位を間違えやすいケース
ケース1:友人や家族への借金を最優先にする
人間関係を気にして友人や家族への借金を先に返す方がいますが、利息がかからない借金は後回しにすべきです。高金利の業者からの借金を先に片付けましょう。
ケース2:金額が大きい借金から返そうとする
金額の大小ではなく、金利の高低で優先順位を決めるのが正解です。100万円の住宅ローン(金利1%)よりも、30万円のカードローン(金利18%)を先に返す方が得です。
ケース3:すべての借金を均等に返そうとする
すべての借入先に均等に余剰資金を振り分けるのは非効率です。最低返済額はすべての借入先に支払い、余剰資金は金利が最も高い1社に集中させましょう。
返済の優先順位を工夫しても、毎月の返済額が収入の3分の1を超えている場合は、自力での返済は困難です。債務整理を検討するタイミングかもしれません。弁護士の無料相談を利用して状況を確認しましょう。
返済を加速させるための追加策
固定費を見直す
携帯電話の料金プラン変更、保険の見直し、サブスクの解約など、毎月の固定費を削減して返済に回しましょう。具体的には、大手キャリアから格安SIMへ変更すれば月3,000〜5,000円の節約、使っていないサブスクを2〜3個解約すれば月2,000〜3,000円の節約になります。これだけで月5,000〜8,000円の余剰資金が生まれ、年間にすると6〜10万円を借金返済に充てられます。
臨時収入は返済に充てる
ボーナス、税金の還付金、不用品の売却収入などは、高金利の借金の繰り上げ返済に充てましょう。
おまとめローンを検討する
金利の低いおまとめローンで複数の高金利借入を一本化できれば、利息負担を大幅に減らせます。ただし、審査に通らない場合や、返済期間が延びて結果的に利息が増えるケースもあるため、条件をよく確認してください。
参考:金融庁公式サイト

よくある質問
Q. 最低返済額しか払えない場合は、どの借金を優先すべきですか?
すべての借入先に最低返済額を支払い、それでも足りない場合は税金→住宅ローン→高金利の借金の順で優先してください。最低返済額すら払えない状態であれば、債務整理を検討すべきです。
Q. ボーナスで繰り上げ返済するのと貯金するのと、どちらが得ですか?
金利15〜18%の借金がある状態では、繰り上げ返済の方がはるかに得です。預金金利は0.1%以下ですが、借金の金利は15〜18%です。ただし、最低限の緊急資金(10〜20万円程度)は手元に残しておきましょう。
Q. リボ払いの残高が増え続けています。どうすれば?
リボ払いは金利が高く、最低返済額の大部分が利息に充てられるため、残高がなかなか減りません。可能であれば一括返済するか、任意整理で将来利息をカットすることを検討してください。
Q. 養育費の支払いも借金の返済順位に含めるべきですか?
養育費は法的な義務であり、債務整理でも免除されません。借金の返済と同列で考え、確実に支払いましょう。養育費の滞納は給与差し押さえにつながる可能性もあります。
Q. 借金が多すぎて、優先順位をつける余裕もありません。
そのような状態であれば、自力での返済にこだわらず、弁護士に相談することをおすすめします。債務整理で借金を整理すれば、返済の負担を大幅に軽減できます。
まとめ
借金返済の優先順位は、税金→住宅ローン→高金利の借金の順が基本です。余剰資金は金利が最も高い借金に集中させる「アバランチ法」が最も利息の節約になります。
返済戦略を立てても返済が困難な場合は、一人で抱え込まず、弁護士や司法書士に相談してください。債務整理を利用すれば、将来利息のカットや元金の減額によって、返済の負担を大幅に軽減できます。



