過払い金が発生していても、一定期間を過ぎると時効により請求できなくなります。「もう手遅れかも」と思っている方もいるかもしれませんが、まだ間に合う可能性があります。
過払い金請求の時効は、原則として「最終取引日から10年」です。完済済みの場合は最後に返済した日から、返済中の場合はまだ時効は進行していません。
この記事では、過払い金の時効のカウント方法、時効が成立していないケース、時効を止める方法を詳しく解説します。

過払い金請求の時効は何年?
原則:最終取引日から10年
過払い金の返還請求権は、民法の消滅時効により、権利を行使できる時から10年で消滅します。「権利を行使できる時」とは、原則として最終取引日(最後に借入または返済をした日)です。例えば、2016年6月に最後の返済を行った場合、時効の期限は2026年6月となります。この期限を1日でも過ぎると請求権が消滅するため、「そろそろ10年かも」と心当たりがある方は早急に確認してください。
改正民法による新たな時効期間
2020年4月の民法改正により、新たに「権利を行使できることを知った時から5年」という時効期間が追加されました。つまり、最終取引日から10年、または過払い金の存在を知った時から5年のいずれか早い方が時効となります。
ただし、多くのケースでは「過払い金の存在を知った時」の立証が困難なため、実質的には最終取引日から10年が基準になることが多いです。
時効のカウントはいつから始まるのか
完済済みの場合
借金を完済した場合は、最後の返済日が時効の起算点です。完済日から10年が経過していなければ、過払い金を請求できます。
返済中の場合
現在も返済を続けている場合は、まだ「最終取引」が完了していないため、時効は進行していません。返済中であればいつでも過払い金の請求が可能です。
取引が一連か分断かで変わるケース
同じ貸金業者から一度完済して再度借入をしている場合、この取引が「一連」とみなされるか「分断」とみなされるかで時効の起算点が変わります。一連の取引であれば最後の完済日が起算点、分断であれば最初の完済日が起算点になり、最初の取引分は時効が成立している可能性があります。裁判所は、完済から再借入までの期間、基本契約の同一性、カード番号の変更の有無、借入条件の変更の有無などを総合的に判断します。一般的に、完済から再借入までの期間が1年以内であれば「一連」と認められやすく、3年以上空いていると「分断」と判断されやすい傾向があります。
取引の一連性・分断の判断は専門的な知識が必要です。完済後に再度借入をしている場合は、弁護士に判断を仰ぎましょう。一連と認められれば過払い金が増える可能性があります。

時効を止める方法
裁判を起こす(時効の完成猶予・更新)
過払い金の返還を求める訴訟を起こすと、時効の完成が猶予されます。判決が確定すれば時効が更新(リセット)され、さらに10年の期間が与えられます。時効が迫っている場合は、早急に訴訟を提起することが最も確実な方法です。訴訟提起は弁護士に依頼すれば数日以内に対応可能なので、時効間際でも諦める必要はありません。
内容証明郵便による催告(6ヶ月の猶予)
貸金業者に対して内容証明郵便で過払い金の返還を催告すると、催告から6ヶ月間は時効の完成が猶予されます。この6ヶ月の間に訴訟を提起する必要がありますが、時間稼ぎとしては有効です。
貸金業者に債務の承認をさせる
貸金業者が過払い金の存在を認めた場合、時効が更新されます。ただし、業者が自ら過払い金を認めるケースは稀です。
時効が成立してしまったケースの対処
取引の一連性を主張する
時効が成立したと思われる場合でも、取引の一連性が認められれば、時効の起算点がずれて請求可能になるケースがあります。
複数の借入先がある場合は個別に確認
一社の過払い金が時効でも、別の借入先の過払い金は時効前という場合があります。借入先ごとに時効を確認しましょう。
時効が迫っている場合は一刻も早く弁護士に相談してください。弁護士なら即日で内容証明郵便の発送や訴訟の準備に着手できます。
過払い金の時効に関するQ&A
Q. 完済から10年以上経っていますが、過払い金はもう請求できませんか?
原則として時効が成立していますが、取引の一連性が認められるケースや、業者の不法行為を理由に請求できる可能性もゼロではありません。実際に、完済から12年経過していても取引の一連性が認められて過払い金を回収できた事例もあります。諦めずに、まずは弁護士に相談して個別に判断してもらうことをおすすめします。
Q. 借入先が倒産している場合はどうなりますか?
借入先が倒産していても、倒産手続き中であれば債権届を提出して過払い金の返還を受けられる場合があります。ただし、倒産した業者からの回収額は大幅に減ることが多いです。
Q. 過払い金の請求をすると、時効が止まりますか?
裁判外の請求(催告)では6ヶ月間の時効猶予のみで、その間に裁判を起こさなければ時効は進行します。確実に時効を止めるには、裁判を起こす必要があります。弁護士に依頼すれば訴状の作成から提出まで迅速に対応してもらえるため、時効が迫っている方は早急に相談しましょう。
Q. いつごろの借入に過払い金がある可能性が高いですか?
2010年以前の消費者金融やクレジットカードのキャッシングが主な対象です。特に2006年以前は年利29.2%で貸し付けていた業者も多く、過払い金の額が大きくなる傾向があります。2010年の貸金業法改正後は、ほとんどの業者が利息制限法の範囲内で貸付を行っているため、過払い金は発生しにくくなっています。
Q. 過払い金の時効を自分で確認する方法はありますか?
最も簡単な方法は、信用情報機関(CIC、JICC、KSC)に開示請求をして、過去の取引履歴を確認することです。CICはインターネットで、JICCはスマートフォンアプリで開示請求が可能です。取引先と最終取引日がわかれば、時効の目安を自分で判断できます。ただし、信用情報の保有期間には限りがあるため(完済から7年程度で削除)、情報が確認できない場合は借入先に直接取引履歴の開示を請求しましょう。


まとめ
過払い金請求の時効は最終取引日から10年が原則です。完済済みの方は時効が迫っている可能性があるため、早めに確認・行動することが重要です。返済中の方は時効が進行していないため、いつでも請求可能です。
時効が迫っている場合は、内容証明郵便による催告で6ヶ月の猶予を得つつ、訴訟の準備を進めましょう。法テラスの無料相談も活用してください。


