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差し押さえを避けるための正しい対処法|交渉・債務整理・相談窓口の使い方

督促・差し押さえ・違法業者

返済が滞り、このままでは給料や預金を差し押さえられるのではないか。そう心配して情報を探している方に向けて、この記事では取れる手立てを整理します。

最初にはっきりさせておきます。この記事では、財産を隠す、名義を移す、口座を空にして逃げるといった方法は一切紹介しません。それらは違法・不当な行為であり、刑事罰の対象になり得るほか、後の手続きでも不利に働きます。詳しくは記事の中で説明します。

そのうえで、正しい対処は次の3つに集約されます。債権者に早い段階で連絡して交渉する。債務整理を検討する。弁護士・認定司法書士・法テラスに相談する。この記事は一般的な情報の整理であり、法的助言ではありません。個別の判断は専門家にご相談ください。

ナビ助
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「差押えを避ける裏ワザ」を探したくなる気持ちは分かる。でもそっちは全部、あとで自分に返ってくるやつなんだ。

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差し押さえまでには段階がある

差し押さえは、ある日突然行われるものではありません。段階を知っておくと、どこで動けばよいかが見えてきます。

民間の借金の場合

段階 起きること
1 返済の遅れ。電話・書面による督促
2 期限の利益の喪失により、残額の一括請求
3 債権回収会社への譲渡、訴訟の提起または支払督促の申立て
4 確定判決や仮執行宣言付支払督促など、債務名義の取得
5 強制執行の申立て。給与・預金等の差押え

重要なのは、財産を差し押さえるには債務名義が必要だという点です。督促状が届いただけの段階ではまだ差押えはできません。逆に言えば、訴状や支払督促が届いた段階が、法的に動ける最後の重要な局面ということになります。

督促状や裁判所からの書類は、捨てずに届いた順にまとめて保管しておくと、相談のときに今どの段階にいるのかを正確に伝えられます。

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裁判所からの書類には期限がある

支払督促は、送達を受けた日から2週間以内に督促異議を申し立てないと仮執行宣言が付され、強制執行の申立てが可能になります(民事訴訟法386条2項、391条1項、396条参照)。訴状の場合は、答弁書を提出せず期日にも出頭しないと、そのまま判決が出る可能性があります。受け取り拒否や居留守で手続きが止まることはありません。参考:督促手続について(法務省)

税金・社会保険料は別のルート

税金や社会保険料の滞納については、裁判所の判決を得ることなく、行政による滞納処分として差押えが行われます。民間の借金とは手続きが異なり、進行が早いことがあります。この場合の対処は後述します。

やってはいけない「回避」

絶対に避けてください

強制執行を妨害する目的で、差し押さえられるべき財産を隠したり、壊したり、譲渡を仮装したり、債務の負担を仮装したりする行為は、強制執行妨害目的財産損壊等罪(刑法96条の2)に該当し、3年以下の拘禁刑もしくは250万円以下の罰金、またはその併科の対象とされています。

名義変更・贈与は取り消される可能性がある

債権者を害することを知りながら財産を贈与する、相場より著しく安く売る、離婚を装って財産分与するといった行為は、詐害行為取消権(民法424条)の対象になり得ます。取り消されれば元に戻るだけでなく、悪質と判断されれば刑事責任の問題にもつながります。

自己破産の場面でも不利になる

破産法252条1項1号は、債権者を害する目的で財産を隠匿・損壊するなどの行為を、免責不許可事由のひとつとして定めています。目先の差押えを逃れようとした行為が、後に免責を難しくする要因になり得ます。

なお、免責不許可事由に当たる行為があった場合でも、裁判所が一切の事情を考慮して免責を許可することができる旨の規定があります(破産法252条2項。裁量免責と呼ばれます)。ただし裁量免責が認められるかどうかは裁判所の判断であり、あてにできるものではありません。財産を隠さないに越したことはない、という結論は変わりません。

逃げ回ることの実害

連絡を絶っても債務は消えません。遅延損害金が積み上がり、手続きは本人不在のまま進みます。結果として、事情を説明する機会も、分割で話し合う機会も失うことになります。

ナビ助
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隠すって、その場では効いた気がするんだよね。でも法律のほうが先回りしてる。堂々と交渉するほうが、結局いちばん軽く済むよ。

正しい対処1:早い段階で債権者に連絡する

支払いが難しいと分かった時点で、債権者に連絡してください。滞納が始まってから連絡するのと、滞納する前に連絡するのとでは、相手の対応が変わることがあります。

伝える内容は、収入と支出の現状、支払える金額、いつから支払えるか。守れない金額で合意すると再び滞納することになるため、無理のある約束はしないでください。合意内容は書面で残しておくと後の行き違いを防げます。

収入と支出の現状を説明するためにも、日ごろの支出を家計簿に記録しておくと、無理のない支払額を考えやすくなります。

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注意

最後の返済からかなりの年数が経っている債権については、消滅時効が問題になる場合があります。時効が完成している可能性がある債権に少額でも支払うと、債務の承認として時効が更新され、期間が振り出しに戻ることがあります(民法152条)。古い借金の請求を受けたときは、支払う前に専門家に確認してください。

正しい対処2:債務整理を検討する

交渉だけでは立て直せない場合、法律にもとづいて返済負担を調整する債務整理という手段があります。

受任通知で督促が止まる

弁護士や認定司法書士に依頼すると、受任通知が債権者に送付されます。貸金業法21条1項9号は、弁護士等から債務処理の受任通知を受けた貸金業者が、正当な理由なく債務者本人に直接支払いを要求することを禁じています。債権回収会社にも、債権管理回収業に関する特別措置法に同様の規定があります。

ここは混同しやすい点

受任通知によって止まるのは直接の取立てです。すでに債務名義にもとづく強制執行が進んでいる場合、受任通知だけでそれを止める法的な効力はありません。差押えの通知が届いている、あるいは訴訟が確定しているといった段階では、その旨を必ず相談時に伝えてください。手続きの選び方が変わります。

3つの手続き

手続き おおまかな内容
任意整理 裁判所を通さず、債権者と直接交渉して返済条件を調整する
個人再生 裁判所の手続きにより、認可された再生計画にもとづいて返済する
自己破産 裁判所の手続きにより、免責許可を得て支払義務を免れる

裁判所の手続きと強制執行の関係

破産手続開始の決定があると、破産財団に属する財産に対する強制執行等は効力を失うものとされています(破産法42条)。管財事件ではない同時廃止の場合には、破産手続開始の決定により強制執行は中止され、免責許可の決定が確定した時点で効力を失うという扱いになります(破産法249条)。個人再生についても、裁判所が強制執行の中止を命じることができる規定があります。

ただし、どの手続きが選べるか、実際にどの時点でどうなるかは、事案の内容や裁判所の運用によって異なります。「必ず止まる」「誰でも使える」といった説明は正確ではありません。効果・期間・費用はいずれも事案ごとに異なりますので、弁護士・認定司法書士に確認してください。また、信用情報への登録など生活面への影響も伴います。

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正しい対処3:差押禁止の範囲を知る

仮に差押えを受けた場合でも、生活の基盤まですべてを持っていかれるわけではありません。法律で守られている範囲があります。

給与の差押えには上限がある

民事執行法152条は、給料等の債権について、支払期に受けるべき給付の4分の3に相当する部分を差押禁止としています。つまり、差し押さえられるのは原則として手取りの4分の1までです。ただし、その4分の3が政令で定める額(月額33万円)を超えるときは、33万円に相当する部分が差押禁止となります。手取りが44万円を超える場合には、33万円を超える部分が差押えの対象になるという計算です。

また、養育費など民事執行法151条の2第1項各号に掲げる義務にかかる債権を請求債権とする場合には、差押禁止の範囲が2分の1に縮小されます(民事執行法152条3項)。

差押えが禁止されている給付

生活保護法58条は、保護金品を差し押さえることができないと定めています。年金についても、国民年金法24条や厚生年金保険法41条により、原則として差押えが禁止されています(国税滞納処分による場合などの例外があります)。

注意

差押えが禁止されている給付でも、口座に振り込まれた後は預金債権として扱われ、差押えの対象になり得ます。事情によって争える場合もありますが、一般論として断定はできません。該当する状況にある方は、速やかに弁護士や法テラスに相談してください。

差押禁止債権の範囲変更の申立て

民事執行法153条は、裁判所が、債務者と債権者の生活の状況その他の事情を考慮して、差押命令の全部もしくは一部を取り消し、または差押禁止債権について差押命令を発することができると定めています。法律で認められた正規の手続きであり、財産隠しとはまったく性質が異なります。手続きの詳細は、執行裁判所の窓口や弁護士に確認してください。

家財道具など

民事執行法131条は、生活に欠くことができない衣服・寝具・家具・台所用具などを差押禁止動産として定めています。生活に必要な最低限の物まで持ち去られるわけではありません。

税金・社会保険料を滞納している場合

この場合の正しい対処は、窓口に相談することです。一時に納付することが難しい事情がある場合、納税の猶予や換価の猶予といった制度の相談に応じてもらえることがあります。分割での納付が認められる場合もあります。

制度の要件や必要書類は、税目や自治体によって異なります。黙って滞納を続けた場合と、事情を説明して相談した場合とでは、その後の展開が変わります。市区町村の納税課、年金事務所、税務署などの窓口へ早めに連絡してください。

税金・社会保険料は債務整理では消えません

租税等の請求権は、破産法253条1項1号で非免責債権とされています。自己破産をして免責許可の決定を受けても、税金や社会保険料の支払義務は残ります。個人再生でも一般優先債権として扱われ、再生計画による減額の対象にはなりません。「破産すれば税金もまとめて消える」というのは誤りですので、滞納分については必ず徴収の窓口に相談してください。

すでに差し押さえられてしまった場合

勤務先経由で差押えの通知を受けた、口座が凍結されたという段階でも、できることは残っています。

・債権者と交渉して、差押えの取下げと分割払いの合意を目指す
・債務整理の手続きを検討する
・給与の差押えについて、差押禁止債権の範囲変更の申立てを検討する
・生活が成り立たない状況であれば、自治体の自立相談支援機関や福祉の窓口に相談する

いずれも判断には専門的な検討が必要です。時間が経つほど選択肢は減ります。まず相談してください。

相談先

法テラス(日本司法支援センター)は国が設立した法的トラブルの総合案内所です。サポートダイヤルは 0570-078374。収入と資産が一定の基準以下であれば、弁護士・司法書士による無料法律相談と費用の立替制度(民事法律扶助)を利用できます。基準や受付時間は改定される場合があるため、法テラス公式サイトで確認してください。

このほか、各地の弁護士会・司法書士会の相談センター、自治体の無料法律相談、消費生活センター(消費者ホットライン188)も利用できます。生活そのものが成り立たない状況であれば、自治体の自立相談支援機関にも相談してください。

よくある質問

Q. 差押えは家族の財産にも及びますか?

A. 原則として、差押えの対象は債務者本人の財産です。ただし、連帯保証人になっている場合はその人自身の債務として扱われます。また、同居家族の家財について、誰の所有かが問題になることもあります。心配な場合は具体的な状況を専門家に伝えて確認してください。

Q. 勤務先に知られてしまいますか?

A. 給与の差押えでは、勤務先が第三債務者となるため、裁判所から勤務先に通知が届きます。勤務先に知られたくないという事情がある場合こそ、差押えに至る前の段階で相談することが重要です。

Q. 給料の振込口座を変えれば逃げられますか?

A. 給与そのものが差し押さえられている場合、口座を変えても差押えは勤務先に対して効力を持ちます。また、執行を妨害する目的での行為は法的なリスクを伴います。口座を移すのではなく、正規の手続きで対応してください。

Q. 差押えは何回も行われますか?

A. 債務が残っている限り、債権者は他の財産に対して改めて申立てをすることがあります。根本的な解決には、返済条件を組み直すか、法的な整理を行う必要があります。

Q. 弁護士費用が払えません。

A. 法テラスの民事法律扶助では、資力基準を満たす場合に弁護士費用等の立替えを受け、分割で償還する仕組みがあります。まずは無料法律相談の申込みから確認してください。

Q. 「差押えを止めます」と広告する業者に頼んでも大丈夫ですか?

A. 債務整理を業として扱えるのは弁護士と、認定司法書士(取扱可能な範囲に制限があります)です。それ以外の業者が交渉を代行することは法律上認められていません。「必ず止まる」「確実に減額できる」といった断定的な説明をする相手には特に注意してください。不安があれば、法テラスや弁護士会の窓口から入るほうが安心です。

まとめ

差し押さえを避ける正しい方法は、財産を隠すことではありません。段階のうちに債権者と交渉すること、債務整理という法的な手段を検討すること、そして弁護士・認定司法書士・法テラスに相談することです。

財産の隠匿や譲渡の仮装は、強制執行妨害目的財産損壊等罪(刑法96条の2)に該当し得るほか、詐害行為取消権の対象となり、自己破産の場面でも免責不許可事由として不利に働きます。短期的にも長期的にも、得にはなりません。

また、差押えを受けた場合でも、給与は原則として手取りの4分の3が守られ、生活保護費や年金には差押禁止の規定があります。差押禁止債権の範囲変更を裁判所に申し立てる制度もあります。効果や可否は事案ごとに異なりますので、判断は専門家とともに行ってください。

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法律って、追い込むためだけにあるわけじゃないんだ。守ってくれる規定もちゃんとある。使えるものを使って、正面から片づけよう。

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