「法テラスを使えば弁護士費用が安くなるらしい」と聞いても、実際にいくらかかるのかが分からないと動き出しにくいものです。総額はいくらで、毎月いくら返すのか。ここがはっきりすれば、次の一歩を決めやすくなります。
先に押さえておきたいのは、法テラスの民事法律扶助は費用を免除する制度ではなく、いったん立て替えたうえで分割で返してもらう制度だという点です。利息はつきませんが、返済そのものはあります。
この記事では、無料法律相談の費用、手続ごとの立替の目安額、毎月の返済額、そして免除される場合について、公式サイトに掲載されている内容を整理します。金額は記事執筆時点のもので、改定される可能性があります。

1. 法律相談の費用:資力基準を満たせば無料
法テラスの民事法律扶助では、収入と資産が資力基準以下の方について、同一の問題につき3回まで無料で法律相談を受けられます。1回の相談時間は30分です。
基準を超える場合は、この無料相談は利用できません。その場合でも、各地の弁護士会や司法書士会が実施している相談会、自治体の無料相談などが選択肢になります。
2. 任意整理を依頼した場合の立替額
立替の金額は、債権者の数によって段階的に決まっています。弁護士に依頼する場合の目安は次のとおりです。
| 債権者数 | 着手金 | 実費 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 1社 | 33,000円 | 10,000円 | 43,000円 |
| 2社 | 49,500円 | 15,000円 | 64,500円 |
| 3社 | 66,000円 | 20,000円 | 86,000円 |
| 4社 | 88,000円 | 20,000円 | 108,000円 |
| 5社 | 110,000円 | 25,000円 | 135,000円 |
| 6〜10社 | 154,000円 | 25,000円 | 179,000円 |
| 11〜20社 | 176,000円 | 30,000円 | 206,000円 |
| 21社以上 | 198,000円 | 35,000円 | 233,000円 |
実際の金額は事件の内容等により審査で決まるため、この表のとおりになるとは限りません。なお、過払金を回収した場合には別途報酬金が発生します。
ご自身の債権者数に当てはめて目安を計算するときは、電卓が手元にあると便利です。
3. 自己破産を依頼した場合の立替額
自己破産も債権者数による区分です。弁護士に依頼する場合の目安を挙げます。
| 債権者数 | 着手金 | 実費 | 合計 |
|---|---|---|---|
| 1〜10社 | 132,000円 | 23,000円 | 155,000円 |
| 11〜20社 | 154,000円 | 23,000円 | 177,000円 |
| 21社以上 | 187,000円 | 23,000円 | 210,000円 |
法テラスの案内では、自己破産事件の予納金は、生活保護を受給している方を除いて立替の対象になりません。個人再生(民事再生)の予納金にいたっては、生活保護を受給しているかどうかにかかわらず立替えの対象外とされています。手続によっては、この分を自分で準備する必要があります。

4. 毎月いくら返すのか
援助開始決定を受けたあと、事件が進行している間から返済が始まります。金額は月々5,000円または10,000円といった単位で設定されるのが一般的で、利息や手数料はかかりません。
たとえば任意整理で立替額が135,000円になった場合、月10,000円の返済であれば14か月ほどで完了する計算になります。無理のない範囲で金額を決められる点が、この制度の使いやすさです。
無理のない返済額を考えるには、家計簿で毎月の収支を把握しておくと判断しやすくなります。
返済が難しくなったときは
収入の減少や病気などで支払いが続けられなくなった場合は、償還の猶予を申請できます。放置して滞納するより、早めに相談したほうが選択肢が残ります。
生活保護を受給している場合
生活保護を受給している間は、立替金の償還が猶予されます。さらに、事件がすべて終了した時点でも受給が続いている場合には、償還の免除を申請することができます。
ただし、相手方から金銭的な利益を得た場合など、免除が認められないケースもあります。個別の判断になるため、担当の弁護士・司法書士や法テラスに確認してください。
5. 費用面で利用できるかどうかの目安
立替制度を使うには、収入と資産が資力基準以下である必要があります。同居家族の人数と地域で基準が変わります。
| 人数 | 手取り月収(東京都特別区等) | 手取り月収(その他) | 資産 |
|---|---|---|---|
| 1人 | 200,200円以下 | 182,000円以下 | 180万円以下 |
| 2人 | 276,100円以下 | 251,000円以下 | 250万円以下 |
| 3人 | 299,200円以下 | 272,000円以下 | 270万円以下 |
| 4人 | 328,900円以下 | 299,000円以下 | 300万円以下 |
5人以上は1人増えるごとに東京等で33,000円、その他の地域で30,000円が加算されます。家賃や住宅ローンを負担している場合は、一定額を上限として基準額に加算されます(1人世帯で41,000円、東京等では53,000円といった上限が定められています)。
詳しい条件は法テラス公式サイトをご確認ください。問い合わせは0570-078374です。

6. 総額の見通しを立てるときの考え方
費用の話が分かりにくくなる理由は、支払う相手が複数に分かれているからです。整理すると、次の3つに分解できます。
1. 弁護士・司法書士に支払う費用(着手金・報酬金)/立替の対象
2. 手続に必要な実費(郵便代、印紙代など)/立替の対象
3. 裁判所に納める予納金/原則として立替の対象外
任意整理は裁判所を使わない手続のため、3つ目の予納金がかかりません。立替でカバーできる範囲が広いのは任意整理ということになります。
これに対して自己破産や個人再生は裁判所の手続です。特に個人再生の予納金は立替の対象外とされているため、その分をどう用意するかが検討課題になります。「立替があるから自己負担ゼロで進められる」とは限らない点は、最初に押さえておいてください。
自己破産で予納金の額が変わる理由
自己破産には、財産の調査や管理を行う破産管財人が選任される「管財事件」と、選任されずに終わる「同時廃止」があります。管財事件になると予納金が必要になり、金額は裁判所や事案によって異なります。どちらになるかは財産や免責に関する事情によって決まるため、相談の段階では見通しとして示されることが多いです。
相談時に聞いておきたい質問
費用について確認するなら、次の質問がそのまま使えます。
・立替の対象になる金額はいくらか
・立替の対象外で自分が用意する金額はいくらか
・毎月の償還額はいくらで、いつから始まるか
・方針が変わった場合、費用はどう変わるか
・過払金が回収できた場合の報酬金の計算方法
説明を受けた内容や受け取った書面は、ファイルにまとめておくと後から確認しやすくなります。
7. 一般の法律事務所との比べ方
法テラスを使わずに法律事務所へ直接依頼する場合、費用は事務所ごとに設定されます。金額だけを並べて比べるのではなく、どこまでの業務が含まれるのか、分割払いに対応しているか、途中で中止した場合の精算はどうなるかという条件をそろえて比較するのが現実的です。
また、法テラスと契約している事務所であれば、その事務所を通じて民事法律扶助を申し込める場合があります。すでに相談先の候補がある方は、法テラスとの契約の有無を尋ねてみてください。
8. 資力基準を超えていた場合の選択肢
収入や資産が基準を上回り、法テラスの立替を使えないと分かった場合でも、打つ手がなくなるわけではありません。
分割払いに対応している事務所を探す
債務整理を扱う法律事務所の多くは、着手金の分割払いに対応しています。受任通知を出すと債権者への返済がいったん止まるため、その間に費用を積み立てる形で進めるのが一般的な流れです。「着手金がゼロでないと依頼できない」と考える必要はありません。
弁護士会・司法書士会の相談を使う
各地の弁護士会や司法書士会では、多重債務に関する相談を実施していることがあります。会が窓口になっているため、地域の事務所につながりやすいという特徴があります。日本弁護士連合会のサイトから、各地の弁護士会の窓口を確認できます。
参考:日本弁護士連合会
自治体や公的機関の窓口
自治体の消費生活センターでは、多重債務に関する相談を受け付けています。取り立ての方法に問題がある場合や、契約自体にトラブルがある場合は、消費者ホットライン188(局番なし)から近くの窓口につながります。

よくある質問
Q. 立替の金額は必ず表のとおりになりますか
いいえ。公式サイトにも、実際の費用は事件の内容等により審査で決まり、必ずこの金額になるとは限らないと明記されています。目安として捉えてください。
Q. 報酬金はかかりますか
債務整理では成功報酬が発生しない扱いが基本ですが、過払金を回収した場合には報酬金が発生します。回収額に応じて算定されるため、金額は事案によります。
Q. 返済はいつから始まりますか
援助開始決定のあと、事件が進行している間から始まるのが一般的です。開始時期の詳細は担当者や法テラスの窓口で確認してください。
Q. 一括で返すこともできますか
可能です。利息はつかないため急ぐ必要はありませんが、早く終わらせたい場合は相談してみてください。
Q. 途中で手続の種類が変わったら費用も変わりますか
任意整理から自己破産に切り替わるといった場合、立替額は改めて審査されます。方針が変わる可能性がある段階では、その点も含めて説明を受けておくと安心です。
Q. 資力基準をわずかに超えている場合はどうなりますか
家賃や住宅ローン、医療費などの負担がある場合、一定額まで基準に加算して判断されます。額面の給与で見て諦めてしまう方がいますが、判断は手取り額で行われます。実際の数字を持って窓口で確認してみてください。
Q. 償還を延滞するとどうなりますか
連絡が来ますので、放置せずに事情を伝えてください。収入減や病気などの事情があれば猶予の申請ができます。何も言わずに滞納を続けると、対応の選択肢が狭まります。
Q. 立替金の返済中に新たな借入をしてもよいですか
債務整理の手続中や返済中に新たな借入をすると、手続の進行や信用情報に影響が出ることがあります。生活が立ち行かない場合は、借入ではなく担当者や自治体の相談窓口に先に相談してください。
Q. 司法書士に依頼する場合も同じ金額ですか
基準額は弁護士と司法書士で異なる設定になっています。また、認定司法書士が代理人になれるのは債権者1社あたり140万円以下の範囲という制限があるため、金額の面だけで選ぶことはできません。
まとめ
法テラスの費用は、無料法律相談(資力基準を満たす方は同一問題3回まで、1回30分)と、立替制度(無利息で毎月5,000円〜10,000円程度から分割返済)の2本立てで考えると整理しやすくなります。
立替の目安は、任意整理で債権者1社なら43,000円、自己破産で1〜10社なら155,000円といった水準ですが、実際の金額は審査によって決まり、予納金は別に必要になる場合があります。
費用の負担が理由で相談を先送りにしているなら、まずは法テラス・サポートダイヤル 0570-078374 に問い合わせてみてください。各地の弁護士会・司法書士会の相談窓口、取り立てや契約トラブルについては消費者ホットライン188も利用できます。手続の効果・期間・費用は事案ごとに異なりますので、具体的な判断は専門家との相談を通じて行ってください。



