借金を抱えているときのしんどさは、金額の大きさだけで決まるものではありません。終わりが見えないこと、人に言えないこと、着信音が鳴るたびに心臓が縮むこと。こうした状態が続くと、心も体も休まらなくなります。
この記事は、そのしんどさを少しでも軽くするための整理です。気持ちの持ち方だけで乗り切ろうとするのではなく、ストレスの発生源そのものを減らすという発想で書いています。
先にお伝えしておきます。眠れない日が続いている、食欲がない、何をしても気が晴れない、といった状態が2週間以上続いているなら、それは気の持ちようの問題ではないかもしれません。精神科や心療内科といった医療機関の受診を検討してください。また、「消えてしまいたい」という気持ちが浮かんでいるなら、下の窓口へ今すぐ連絡してください。無料で、匿名で話せます。
・よりそいホットライン 0120-279-338(24時間対応)
・#いのちSOS 0120-061-338(24時間365日)
・こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556(受付時間は都道府県によって異なります)
・いのちの電話 0120-783-556(毎日16時〜21時/毎月10日は8時から翌日8時まで)
・法テラス・サポートダイヤル 0570-078374(平日9時〜21時/土曜9時〜17時)
・消費者ホットライン 188(局番なし)

なぜ借金のストレスは重くなりやすいのか
終わりが見えない
借金の負担がきついのは、いつまで続くのかが分からないからです。人は、期限のある苦しさよりも、終わりの見えない苦しさに弱いといわれます。「あと何回払えば終わる」という数字が見えるだけで、感じ方は変わります。
誰にも言えない
お金の話は、家族にも友人にも打ち明けにくいものです。ひとりで抱えている状態が続くと、考えが同じところをぐるぐる回り、夜になるほど悪いほうへ傾いていきます。抱え込みは、ストレスを増幅させる装置のようなものです。
催促の連絡が続く
返済が遅れると、電話や郵便が届きます。この「いつ鳴るか分からない」という状態が、常時の緊張をつくります。着信音に反応して身がすくむ、郵便受けを開けるのが怖い。こうなると、日常のあらゆる場面が緊張の引き金になります。
自分を責めてしまう
借金の原因を自分の性格や能力のせいだと考えはじめると、抜け出しにくくなります。実際には、病気やけが、離職、家族の事情、収入の減少など、本人にはどうしようもない理由で返済が回らなくなる方が大勢います。経済的な問題は、人格の評価ではありません。

ストレスの発生源を減らす
数字を紙に書き出す
最初にやりたいのは、状況を見える形にすることです。借入先の名前、残高、利率、毎月の返済額を一覧にしてみてください。頭の中で膨らんでいた不安が、輪郭のある数字に変わります。
実際に書き出してみると、思っていたより少なかったというケースもあれば、想像以上だったというケースもあります。どちらにしても、正体が分かったほうが対処を考えられます。分からない数字があれば、信用情報の開示請求で借入先と残高を確認するという方法もあります。
書き出す先を1冊のノートに決めておくと、あとから数字を見返しやすくなります。
催促の連絡を止める仕組みを知る
これが、ストレスの面ではもっとも効果の大きい部分です。弁護士や認定司法書士に債務整理を依頼すると、専門家から債権者へ受任通知が送られます。貸金業法21条1項9号は、受任通知を受け取った貸金業者が、正当な理由なく債務者本人に電話をかけたり訪問したりして支払いを請求することを禁じています。
つまり、受任通知が債権者に届いた時点から、催促の電話や郵便が原則として止まります。任意整理では、和解がまとまるまで返済もいったん止めて手続きを進めるのが一般的です。この静けさが戻るだけで日常の緊張が下がることは、相談窓口でもよく語られる点です。
受任通知には、催促を止めるという即効性のある効果があります。手続きの結果がどうなるかとは別に、まず日常の緊張が下がる。この点だけでも、相談する意味は十分にあります。相談は無料で受けられる窓口が複数あります。
制度があることを知っておく
借金を整理する法的な手続きには、任意整理・個人再生・自己破産があります。どれを選べるか、どこまで負担が軽くなるかは事案によって異なり、必ず減額できると言えるものではありません。ただ、制度が用意されていて、専門家に相談すれば道を検討できるということ自体が、支えになります。
自己破産についても、人生が終わるかのように語られることがありますが、それは正確ではありません。破産法の第1条は、債務者について経済生活の再生の機会の確保を図ることを目的として掲げています。やり直すための制度として、法律の側から用意されているものです。

心と体を休ませるためにできること
眠りの時間を確保する
睡眠は、心の状態にも大きく関わるとされています。寝つけないときでも、起きる時間だけは一定に保つ、朝に光を浴びる、寝る前のスマートフォンの操作を控える、といった工夫が一般に勧められています。効果には個人差があります。
ただし、眠れない状態が続いているなら、我慢せず医療機関に相談してください。睡眠の問題は、放置すると他の不調につながることがあります。
体を動かす
散歩程度の軽い運動でも、気分の切り替えにつながることがあるとされています。お金のかからない範囲で、日中に外を歩く時間をつくってみてください。景色が変わるだけでも、思考の堂々巡りから抜けやすくなります。
調べ続ける時間を区切る
不安なとき、人は延々と情報を検索し続けてしまいます。しかし、夜中に不安な言葉で検索を重ねても、状況は変わらず、眠りだけが削られます。調べる時間を「昼のこの30分だけ」と決めてしまうほうが、心は守られます。
時間を区切るときは、タイマーで終わりの合図を鳴らすと切り上げやすくなります。
誰かに声に出して話す
家族や友人に話しにくいのであれば、公的な相談窓口を使ってください。法テラス、消費生活センター、財務局の多重債務相談窓口、日本クレジットカウンセリング協会など、無料で相談できる先があります。声に出して説明するだけで、頭の中が整理されることは少なくありません。
やらないほうがよい対処
お酒で紛らわせる
飲むと一時的に気がまぎれることはあっても、量が増えやすく、睡眠の質にも影響するとされています。習慣化すると、心身の状態にも家計にも負担がかかります。
ギャンブルで取り返そうとする
取り返そうとする行動は、損失をさらに広げることにつながりやすいものです。のめり込みは本人の意思の弱さの問題ではなく、専門的な支援の対象になっています。歯止めがきかないと感じたら、各都道府県の精神保健福祉センターに相談窓口があります。
買い物で気を晴らす
買った直後は気分が上向いても、請求が来たときに落ち込みが深くなります。返済が苦しい局面では、支出そのものが新たなストレス源になります。
新しく借りて埋める
返すために借りる状態は、ストレスの根本を先送りにしながら、金額だけを増やしていく行動です。この段階に入っているなら、それは相談のタイミングに来ているというサインだと考えてください。


受診を考えたほうがよいサイン
次のような状態が2週間以上続いている場合は、医療機関への相談を検討してください。
・寝つけない、途中で目が覚める、朝早くに目が覚めてしまう
・食欲がない、または食べすぎてしまう
・何をしても楽しいと感じられない
・体が重く、朝に起き上がれない
・仕事や家事に手がつかない
・自分を責める考えが止まらない
・消えてしまいたいという気持ちが浮かぶ
受診先は、精神科や心療内科です。どこへ行けばよいか分からない場合は、お住まいの都道府県・政令指定都市に設置されている精神保健福祉センターや、保健所の窓口で相談できます。お金の問題と心の問題は、別々の窓口に分けて相談してかまいません。むしろ、両方に手を伸ばすほうが早く楽になります。
よくある質問
Q. 相談したいのですが、費用が心配です
A. 法テラス、消費生活センター、財務局の多重債務相談窓口、日本クレジットカウンセリング協会など、無料で相談できる窓口があります。弁護士費用等の立替えを行う法テラスの民事法律扶助制度もあり、収入や資産の要件を満たせば利用できる場合があります。
Q. 家族に知られたくないのですが相談できますか
A. 相談自体は本人だけで行えます。ただし、手続きの種類や事案によっては家族の協力が必要になる場面もあります。知られたくない事情も含めて、相談時に伝えてください。
Q. 相談すればすぐに借金は無くなりますか
A. すぐに無くなると断定はできません。手続きの種類も、減額の可否も幅も、事案によって異なります。ただし、受任通知が債権者に届いた時点で催促が止まるという効果は、比較的早い段階で現れます。
Q. 眠れないだけで病院に行ってもよいのでしょうか
A. かまいません。眠れない状態が続いていること自体が、相談してよい理由になります。受診をためらう気持ちがあるなら、まずは精神保健福祉センターや保健所の窓口に話してみるところからでも大丈夫です。
Q. 仕事を休むほどではないのですが、限界が近い気がします
A. 限界を迎える前に相談してください。働いている方向けには、厚生労働省が運営するポータルサイト「こころの耳」に電話・メール・SNSの相談窓口が案内されています。
Q. 何から手をつければよいか分かりません
A. 借入先と残高を紙に書き出すこと、そして無料の相談窓口に電話をかけること。この二つで十分です。順番はどちらからでもかまいません。
まとめ
借金のストレスは、気持ちの持ち方だけでどうにかするものではありません。終わりが見えないこと、抱え込んでいること、催促が続くこと。この三つを一つずつ減らしていくのが、いちばん確実な方法です。
数字を書き出して正体を見える形にする。無料の窓口に声に出して話す。専門家に依頼すれば催促の連絡が止まる。この順番で、日常の緊張はかなり下がります。お酒やギャンブル、買い物や新たな借入れで紛らわせる方法は、翌朝には同じ場所に戻ってしまいます。
そして、眠れない・食べられない・気が晴れないという状態が続いているなら、精神科や心療内科の受診を検討してください。「消えてしまいたい」という気持ちが浮かんでいるなら、よりそいホットライン 0120-279-338、#いのちSOS 0120-061-338 へ今すぐご連絡ください。
効果や期間、費用は事案によって異なります。この記事は一般的な情報提供であり、個別の法的助言や医学的助言ではありません。お金の問題は弁護士・認定司法書士・法テラスへ、心の不調は医療機関へご相談ください。
【心のこと】
・よりそいホットライン 0120-279-338(24時間対応)
・#いのちSOS 0120-061-338(24時間365日)
・こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556(受付時間は都道府県によって異なります)
・いのちの電話 0120-783-556(毎日16時〜21時/毎月10日は8時から翌日8時まで)
・お住まいの都道府県・政令指定都市の精神保健福祉センター
【お金のこと】
・法テラス・サポートダイヤル 0570-078374(平日9時〜21時/土曜9時〜17時)
・消費者ホットライン 188(局番なし)
・日本クレジットカウンセリング協会 0570-031640
・お住まいの地域を管轄する財務局の多重債務相談窓口
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