借金の返済が遅れると、金融機関からの電話や書面による催促が始まります。これが「取り立て」と呼ばれるものですが、法律に則った方法で、取り立てを止めることは可能です。この記事では、借金の取り立てを止めるための具体的な方法と、違法な取り立てに遭った場合の対処法について解説します。
取り立てに追われていると、冷静な判断が難しくなりがちです。まずは正しい知識を身につけて、適切な対応を取れるようにしましょう。
取り立ての法的ルールを知る
貸金業者やクレジットカード会社による取り立ては、貸金業法第21条で厳しく規制されています。この法律に違反する取り立ては「違法な取り立て」として罰則の対象になります。
法律で禁止されている取り立て行為
- 正当な理由なく、午後9時から午前8時の間に電話や訪問をすること
- 正当な理由なく、勤務先に電話や訪問をすること
- 張り紙や看板など、借金の存在を周囲に知らせるような行為
- 他の貸金業者からの借入を強要すること
- 暴力的な態度や脅迫的な言動
- 弁護士等に委任した旨の通知後に、正当な理由なく直接取り立てをすること
正規の金融機関はこれらのルールを遵守しているため、過度に恐れる必要はありません。ただし、闇金などの違法業者はこうしたルールを無視するケースがあります。
届いた催促の書面や封筒は、日付がわかる形で捨てずにまとめて保管しておくことが大切です。

取り立てを止める代表的な方法:受任通知
借金の取り立てを止める方法として確実性を重視する場合に選ばれることが多いのは、弁護士または司法書士に債務整理を依頼することです。依頼を受けた弁護士・司法書士は、各債権者に「受任通知」を送付します。
受任通知とは
受任通知とは、「この債務者の借金問題について、弁護士(司法書士)が代理人として対応します」という内容の書面です。この通知を受け取った貸金業者は、以降、債務者に対して直接の取り立てを行うことが法律で禁止されます(貸金業法第21条第1項第9号)。
受任通知で取り立てが止まる仕組み
受任通知を受け取った債権者がそれ以降も直接取り立てを行った場合、行政処分(業務停止命令等)や刑事罰(2年以下の懲役または300万円以下の罰金)の対象となります。そのため、正規の金融機関であれば受任通知を受け取った時点で取り立てを停止します。
受任通知が届くまでの期間
弁護士・司法書士に依頼してから受任通知が債権者に届くまでには、通常数日〜1週間程度かかります。その間は取り立てが続く可能性がありますが、依頼後であれば「弁護士に依頼しました」と伝えることで対応できます(参考:弁護士法人・響)。

自分で取り立てを止められる場合はあるか
弁護士や司法書士に依頼する以外にも、自分で取り立てを止められるケースがあります。
借入先に直接連絡して返済計画を伝える
滞納している場合、借入先に連絡して返済の意思と具体的な返済計画を伝えることで、催促の頻度が減ることがあります。完全に止まるわけではありませんが、連絡なしに滞納しているよりもずっと良い状況になります。
時効の援用
最後の返済から5年以上(債権者が個人の場合は10年)が経過している場合、消滅時効を援用することで借金の支払義務をなくせる可能性があります。ただし、時効の援用には条件があり、自己判断で行うとリスクを伴うため、専門家に相談してから行うのが安全です。
違法な取り立てに遭った場合の対処法
法律のルールを無視した取り立てを受けた場合は、以下の対応を取りましょう。
証拠を残す
違法な取り立ての証拠として、通話の録音、メールやメッセージのスクリーンショット、訪問時の写真や動画を残しておきましょう。これらは後から相談や通報する際に重要な証拠になります。
書面で届いた催促状なども、A4サイズのファイルにまとめておくと、相談や通報の際に提示しやすくなります。
警察に通報する
脅迫や暴力を伴う取り立ては犯罪行為です。身の危険を感じた場合は、迷わず110番に通報してください。
貸金業者の監督官庁に相談する
貸金業者の違法行為については、金融庁や各都道府県の貸金業担当課に通報できます。行政処分の対象となる可能性があります(参考:金融庁公式サイト)。
弁護士・司法書士に相談する
違法な取り立てを受けている場合は、弁護士や司法書士に相談することで、取り立ての停止と損害賠償請求の検討が可能です。
闇金からの取り立ての場合は、通常の債務整理とは異なる対応が必要です。闇金対応に詳しい弁護士・司法書士に相談してください。闇金からの借入には元本の返済義務もないとされています。

取り立てが止まった後にやるべきこと
受任通知によって取り立てが止まっても、借金の問題自体が解決したわけではありません。取り立てが止まった後は、弁護士・司法書士と相談しながら以下のステップを進めましょう。
- すべての借入先と残高を正確に把握する
- 収入と支出を整理し、返済能力を確認する
- 最適な債務整理の方法(任意整理・個人再生・自己破産)を選択する
- 手続きを進め、新たな返済計画に基づいて返済を開始する(または免責を受ける)
取り立てが止まることで精神的な余裕ができるため、落ち着いて今後の方針を検討できるようになります。
収入と支出の整理には、家計簿で毎月のお金の流れを書き出しておくと、方針を検討する際の材料になります。
よくある質問(Q&A)
Q. 受任通知を送っても取り立てが止まらない場合はどうすればいいですか?
A. 正規の貸金業者であれば、受任通知後に取り立てを続けることは法律違反です。それでも取り立てが続く場合は、依頼した弁護士・司法書士に報告してください。監督官庁への通報や、損害賠償請求を検討します。
Q. 保証人がいる場合、自分の取り立てが止まっても保証人に請求が行きますか?
A. はい、受任通知によって止まるのは本人への取り立てのみです。保証人がいる場合は、保証人に対して請求が行く可能性があります。保証人への影響についても、弁護士・司法書士に事前に相談しておきましょう。
Q. 銀行からの取り立ても受任通知で止まりますか?
A. 貸金業法の規制対象は貸金業者(消費者金融やクレジットカード会社)であり、銀行は対象外です。ただし、実務上は銀行も受任通知を受け取った場合は直接の取り立てを控えるのが一般的です(参考:司法書士法人黒川事務所)。
まとめ
借金の取り立てを止める代表的な方法は、弁護士・司法書士に依頼して受任通知を送ってもらうことです。受任通知を受け取った貸金業者は、それ以降の直接的な取り立てが法律で禁止されます。
取り立てに悩んでいる方は、今すぐ弁護士・司法書士に相談してください。初回無料で相談を受ける事務所が多く、法テラスを利用すれば費用の心配も軽減できます。取り立てが止まれば、冷静に今後の方針を立てることができます。
※この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の法的助言ではありません。具体的な借金問題のご相談は、弁護士・司法書士などの専門家にお問い合わせください。



