自己破産を検討しているけれど、「どんな手続きが必要なのか」「どれくらいの期間がかかるのか」がわからず、踏み出せないという方は多いのではないでしょうか。
自己破産の手続きは、弁護士への相談から免責許可決定まで、おおよそ6か月から1年程度かかります。手続きの種類(同時廃止事件・管財事件)によって期間は異なりますが、基本的な流れは共通しています。
この記事では、自己破産の手続きの流れをステップごとにわかりやすく解説し、各段階でかかる期間の目安もあわせて紹介します。

自己破産手続きの全体の流れ
自己破産の手続きは、大きく分けて以下のステップで進みます。それぞれの段階を詳しく見ていきましょう。
ステップ1:弁護士への相談・依頼(即日から1週間)
まず、弁護士に借金の状況を相談します。多くの法律事務所では初回無料相談を実施しているため、費用を気にせず相談できます。
相談の際には、以下の情報を整理しておくとスムーズです。
- 借金の総額と借入先の一覧
- 毎月の収入と支出
- 保有している財産(不動産、車、預貯金など)
- 借金の原因や経緯
弁護士が状況を確認し、自己破産が最適な方法かどうかを判断します。他の債務整理(任意整理・個人再生)の方が適している場合は、その提案もしてもらえます。
ステップ2:受任通知の送付と取り立ての停止(依頼から数日)
弁護士に正式に依頼すると、各債権者に対して「受任通知」が送付されます。受任通知が届くと、貸金業法の規定により債権者は本人への直接の取り立てや連絡ができなくなります。
通常、依頼から1日から1週間程度で受任通知が送付されます。これにより、督促の電話や郵便物から解放され、精神的な負担が大きく軽減されます。
ステップ3:必要書類の準備(1か月から3か月)
裁判所への申し立てに必要な書類を準備します。この段階が自己破産手続きの中で最も時間がかかることが多いです。
主な必要書類は以下の通りです。
- 申立書・陳述書(弁護士が作成)
- 債権者一覧表(弁護士が作成)
- 家計収支表(直近2か月分)
- 預金通帳の写し(過去1年から2年分)
- 給与明細書(直近2か月から3か月分)
- 源泉徴収票または確定申告書の写し
- 住民票・戸籍謄本
- 財産に関する資料(不動産登記簿、車検証、保険証券など)
書類の準備を早く済ませるほど、手続き全体の期間を短縮できます。弁護士から指示があったら、できるだけ早く必要書類を集めましょう。
集めた書類は種類ごとにファイルへまとめておくと、弁護士に渡すときにも確認しやすくなります。

ステップ4:裁判所への申し立て
必要書類がそろったら、弁護士が管轄の地方裁判所に自己破産の申し立てを行います。申立先は、原則として債務者の住所地を管轄する地方裁判所です。
弁護士に依頼している場合、申し立て手続きは弁護士がすべて代行するため、本人が裁判所に行く必要は基本的にありません。
ステップ5:破産手続開始決定(申し立てから数日から数週間)
裁判所が申立書類を審査し、問題がなければ「破産手続開始決定」が出されます。この時点で、手続きが「同時廃止事件」と「管財事件」のどちらになるかが決まります。
同時廃止事件の流れと期間
同時廃止事件は、処分すべき財産がほとんどない場合に適用される手続きです。破産管財人が選任されず、破産手続の開始と同時に手続きが廃止されるため、比較的短期間で終了します。
同時廃止事件の流れ
- 破産手続開始決定と同時廃止決定
- 免責審尋(裁判官との面接):開始決定から約2か月後
- 免責許可決定:免責審尋から約1週間後
- 免責許可決定の確定:決定から約2週間後(官報公告期間)
同時廃止事件の総期間
弁護士への依頼から免責許可決定の確定まで、おおよそ4か月から7か月程度が目安です。書類準備がスムーズに進めば、4か月程度で完了するケースもあります。
個人の自己破産では同時廃止になるケースが多いとされています。高額な財産を持っていない方は、比較的短い期間で手続きが完了する可能性があります。
管財事件の流れと期間
管財事件は、一定以上の財産がある場合や、免責不許可事由の調査が必要な場合に適用されます。破産管財人が選任され、財産の調査・換価・配当が行われます。
管財事件の流れ
- 破産手続開始決定・破産管財人の選任
- 破産管財人との面談:選任から約1週間から2週間後
- 財産の調査・換価:数か月間
- 債権者集会:開始決定から約3か月後(複数回開催されることも)
- 配当手続(配当すべき財産がある場合)
- 免責審尋
- 免責許可決定・確定
管財事件の総期間
管財事件の場合、弁護士への依頼から免責許可決定の確定まで6か月から1年以上かかることが一般的です。財産の調査や換価に時間がかかる場合は、さらに長引くこともあります。
少額管財事件とは
少額管財事件は、弁護士が代理人として申し立てた場合に利用できる手続きです。通常管財に比べて引継予納金が低額(20万円程度)で、手続期間も比較的短く済みます。弁護士に依頼するメリットの一つです。

手続き中にやってはいけないこと
自己破産の手続き中には、いくつか注意すべき行動があります。これらを守らないと、免責が認められないリスクがあります。
新たな借り入れをしない
自己破産の手続き中に新たな借り入れを行うと、免責不許可事由に該当する可能性があります。返済するつもりがないのに借りる行為は詐欺的とみなされるためです。
財産を隠さない・不当に処分しない
手続き前後に財産を隠したり、親族に名義変更したりする行為は、免責不許可事由の中でも特に重大なものです。すべての財産を正直に申告しましょう。
特定の債権者だけに返済しない
自己破産では原則としてすべての債権者を平等に扱う必要があります。「お世話になった人にだけは返済したい」という気持ちは理解できますが、特定の債権者への偏った返済(偏頗弁済)は免責不許可事由に該当します。
裁判所や管財人に嘘の報告をしない
破産手続では誠実さが求められます。財産や収入について虚偽の報告をすると、免責が認められないだけでなく、詐欺破産罪に問われる可能性もあります。
手続き中に「やってもいいこと」と「やってはいけないこと」がわからない場合は、必ず弁護士に確認しましょう。自己判断で行動すると、免責に影響する可能性があります。
手続き期間を短くするためのポイント
自己破産の手続き期間を短縮するために、以下のポイントを意識しましょう。
書類は早めに準備する
書類準備の遅れが手続き全体の遅延につながります。弁護士から書類のリストをもらったら、できるだけ早く収集を開始しましょう。
弁護士との連絡を密にする
弁護士からの連絡にはすぐに対応し、追加資料の依頼にも迅速に応えることで、手続きが滞りなく進みます。連絡が取りにくい状態が続くと、手続きが大幅に遅れる原因になります。
家計収支表を正確に記録する
家計収支表は直近2か月分の提出が求められます。日頃から支出を記録しておけば、作成がスムーズです。レシートを保管しておく習慣をつけましょう。
毎日の支出を家計簿に書き留めておくと、家計収支表を作るときに数字を拾いやすくなります。
自己破産に強い弁護士に依頼する
債務整理の実績が豊富な弁護士であれば、書類作成や裁判所対応もスムーズです。経験の浅い弁護士に比べて、手続き期間が短くなる傾向があります。

免責許可決定後の生活
免責許可決定が確定すれば、借金の返済義務から解放されます。その後の生活について確認しておきましょう。
職業制限が解除される
破産手続中に制限されていた職業(保険募集人・警備員など)は、免責許可決定の確定をもって制限が解除されます。これを「復権」と呼びます。
信用情報の回復には時間がかかる
クレジットカードやローンが再び利用できるようになるまでには、CIC・JICCで約5年、KSCで約7年程度かかります。この期間は、デビットカードやプリペイドカードで代用しましょう。
新たな人生のスタート
自己破産は「終わり」ではなく「新しい始まり」です。借金のストレスから解放され、収入をすべて自分の生活に使えるようになります。家計管理を見直し、健全な経済生活を築いていきましょう。
まとめ
自己破産の手続きは、弁護士への相談から免責許可決定の確定まで、同時廃止事件で4か月から7か月、管財事件で6か月から1年以上が目安です。手続き中は取り立てが止まるため、精神的な負担は大幅に軽減されます。
自己破産の手続きを少しでもスムーズに進めるためには、早めに弁護士に相談し、書類準備を迅速に行うことが重要です。一人で悩まず、まずは無料相談を利用して専門家の意見を聞いてみましょう。法テラスでは、無料の法律相談も実施しています。



