債務整理を終えたあと、生活の中で最初に不便を感じるのがクレジットカードです。ネット通販、ホテルの予約、公共料金の支払い、サブスクリプションの登録。カードを前提にした仕組みが、思っていた以上に多いことに気づかされます。
結論から書くと、「何年経てば必ず作れる」と言い切れるものではありません。信用情報の登録期間には目安がありますが、カード会社の審査基準はそれぞれ独自のもので、記録が消えたあとも収入や勤務状況を含めて総合的に判断されるからです。
この記事では、カードの審査で参照される信用情報の仕組みと保有期間を各機関の公表情報にもとづいて整理し、そのうえで待っている間の生活をどう回すかという代替手段まで説明します。効果や期間、費用は事案によって異なります。ここに書いているのは一般的な情報であり、個別の法的助言ではありません。

カードの審査で見られている信用情報
中心になるのはCIC
クレジットカード会社が加盟しているのが、割賦販売法と貸金業法にもとづく指定信用情報機関であるCICです。カードの申込みがあると、カード会社はCICへ照会し、契約内容や支払状況、異動の有無を確認します。多くのカード会社はJICCにも加盟しており、銀行系のカードではKSCが関わる場合もあります。
3つの機関の保有期間
| 機関 | 情報の種類 | 公表されている保有期間 |
|---|---|---|
| CIC | クレジット情報/申込情報/利用記録 | クレジット情報は契約期間中および契約終了後5年以内/申込情報は照会日より6か月間/利用記録は利用日より6か月間 |
| JICC | 契約内容情報/取引事実情報/申込情報 | 契約日が2019年10月1日以降の契約は、契約内容に関する情報・取引事実に関する情報とも契約継続中および契約終了後5年以内(債権譲渡の事実は1年以内)/契約日が2019年9月30日以前の契約は、契約継続中および完済日から5年を超えない期間、取引事実は当該事実の発生日から5年以内/申込情報は照会日から6か月以内 |
| KSC | 取引情報/官報情報 | 取引情報は契約期間中および契約終了日から5年を超えない期間/官報情報は当該決定日から7年を超えない期間 |
3つの機関で枠組みも期間も違うため、「債務整理は一律5年」と覚えるのは不正確です。特に自己破産や個人再生では、KSCの官報情報が決定日から7年を超えない期間残ります。銀行系のカードを検討する場合、この点が関わってくる可能性があります。
手続きの種類による違い
任意整理は裁判所を通さないため官報には載らず、CICやJICCの登録が中心になります。起算点は和解時点ではなく完済時点から数えられる運用が多いとされており、返済に数年かけた場合はその分だけ後ろにずれます。個人再生と自己破産は官報に掲載されるため、KSCの官報情報の対象にもなります。
和解書や完済の時期がわかる書類は、ひとつにまとめて保管しておくと、後から起算点を確かめる際に役立ちます。

「期間が明ければ作れる」とは限らない
信用情報は判断材料のひとつ
カードの審査では、信用情報のほかに年齢・年収・雇用形態・勤続年数・居住形態・家族構成などが見られます。記録が消えることは審査のスタートラインに戻ることであって、発行が約束されるものではありません。カード会社ごとに基準が違うため、同じ時期に申し込んでも結果が分かれることは普通にあります。
整理した相手の会社は特に慎重
見落とされがちなのが社内情報です。債務整理の対象にしたカード会社や、そのグループ会社は、自社の顧客データとして取引の経緯を長期間保持していることがあります。信用情報機関の保有期間とは無関係に残るもので、俗に社内ブラックと呼ばれています。
そのため、かつて整理した相手のカード会社では、期間が明けたあとでも審査が通りにくい場合があります。カード会社は銀行や信販会社と同じグループに属していることが多いので、申込先を選ぶときは資本関係も確認しておくと無駄が減ります。
短期間に何枚も申し込まない
落ちるたびに次のカードへ申し込む、という動き方は逆効果になりやすいものです。申込情報はCICで照会日より6か月間、JICCでも照会日から6か月以内登録されます。短期間に申込みが集中している履歴自体が、慎重な判断を招く要因になり得ます。落ちた場合は、半年ほど間を空けるのが無難です。
カード会社は審査に通らなかった理由を申込者に説明しません。信用情報が原因なのか、別の要素なのかは分からないため、落ちた理由を推測して申込みを繰り返すより、開示請求で自分の状態を確かめるほうが確実です。
待っている間の代わりになる手段
デビットカード
銀行口座から即時に引き落とされる仕組みで、原則として信用情報の照会を伴いません。国際ブランドが付いたものであれば、ネット通販や実店舗、多くのサブスクリプションの支払いに使えます。口座残高の範囲でしか使えないため、使いすぎを防げるという利点もあります。
ただし、高速道路の料金支払いや一部のガソリンスタンド、月額課金の一部など、デビットカードを受け付けない場面もあります。使えるかどうかは各サービスの案内を確認してください。
デビットカードやプリペイドカードに切り替える際は、手持ちのカードをケースにまとめて整理しておくと、どのカードで支払うかを把握しやすくなります。
プリペイドカード
あらかじめチャージした金額の範囲で使えるカードです。コンビニやアプリからチャージでき、国際ブランド付きのものならネット決済にも対応します。審査を伴わないものが一般的で、必要な分だけ入金して使えるため、家計の管理という点でも扱いやすい手段です。
家族カード
配偶者や親などがカードを持っている場合、その方の本会員契約に紐づく家族カードを発行してもらえる場合があります。家族カードは本会員の信用に基づいて発行されるため、家族カードを使う側の信用情報が審査されないのが一般的です。ただし発行の可否はカード会社の判断によります。
注意点として、支払いの責任は本会員にあります。利用状況は本会員に伝わりますし、使いすぎれば本会員に迷惑がかかります。家庭内でルールを決めたうえで使ってください。
ETCが必要な場合
クレジットカードが無いとETCカードは作れないと思われがちですが、デポジットを預託して利用する仕組みが用意されています。高速道路をよく使う方は、こうした制度を調べてみてください。制度の内容や必要な費用は変わることがあるため、詳細は運営元の公式案内をご確認ください。
スマホ決済との組み合わせ
銀行口座からチャージして使うコード決済であれば、クレジットカードを登録しなくても利用できます。デビットカードやプリペイドカードと組み合わせれば、日常の買い物でカードが無いことによる不便は、かなりの部分が埋まります。


再びカードを持つための準備
開示請求で状態を確認する
CIC・JICC・KSCはいずれも本人開示に対応しています。インターネットや郵送で請求でき、手数料がかかります。本人が開示請求をした記録が審査に使われることはないため、開示によって不利になる心配はありません。いつ登録され、いつ消えるのかを数字で確かめてから動くほうが、無駄な申込みを避けられます。
支払いの実績を積み直す
記録が消えた直後は、信用情報に履歴がほとんど無い状態になります。年齢のわりに取引履歴が無いことが、判断を難しくする場合もあります。携帯端末の分割払いや少額の割賦を期日どおりに支払うと、CICのクレジット情報として履歴が残ります。無理に借りる必要はありませんが、日々の支払いを一度も遅らせないことは、それだけで積み上げになります。
期日どおりの支払いを続けるためには、毎月の収入と支出を家計簿で把握しておくことが役立ちます。
申込先を絞って選ぶ
カード会社ごとに審査の考え方は異なります。整理の対象にした会社やそのグループは避け、まずは1社に絞って申し込む。落ちたら半年ほど間を空ける。この進め方が、結果として近道になります。
・信用情報の登録期間には目安があるが、明ければ作れると断定はできない
・整理した相手の会社・グループは社内の記録が長く残る場合がある
・待つ間はデビット・プリペイド・家族カードで生活を回せる
・申込みは短期間に集中させない
よくある質問
Q. 債務整理の対象にしなかったカードは使い続けられますか
A. 使い続けられる場合もありますが、保証はできません。カード会社は定期的に会員の信用情報を確認する途上与信を行っており、その際に他社での債務整理が把握されると、利用停止や更新見送りになることがあります。
Q. 審査に通りやすいカードはありますか
A. 審査基準は各社が公表しておらず、通りやすさを断定できるものではありません。「審査が不安な方でも」といった案内をうたうカードもありますが、信用情報の照会が省かれるわけではない点は理解しておいてください。
Q. 家族に債務整理を知られずに家族カードを作れますか
A. 家族カードの発行には本会員の申込みが必要なので、本会員となる家族の協力が前提になります。事情を伝えたうえで相談してください。
Q. デビットカードでもポイントは貯まりますか
A. 商品によって還元の有無や条件が異なります。付与率や条件は変更されることがあるため、各金融機関の公式案内で最新の内容を確認してください。
Q. スマホの端末代を分割で買うことはできますか
A. 端末の分割払いは割賦販売法にもとづく個別信用購入あっせん契約にあたり、CICの情報が参照されます。記録が残っている間は難しくなりますが、一括購入や中古端末という方法もあります。詳しくは携帯契約の記事で解説しています。
Q. 期間が明けたらすぐ申し込んでよいですか
A. 先に開示請求で登録が消えていることを確かめてから申し込むほうが確実です。起算点が思っていた日付と違い、まだ残っていたというケースは珍しくありません。
Q. ネット通販の後払いサービスなら使えますか
A. サービスによって審査の方法が異なります。信用情報の照会を伴わないものもありますが、支払いが遅れれば督促を受け、状況によっては記録に影響する可能性もあります。手数料の有無や支払期限を確認したうえで、確実に払える範囲で使ってください。
Q. 賃貸契約や携帯契約にも同じ影響が出ますか
A. 同じではありません。賃貸は保証会社の種類によって信用情報を参照するものとしないものがあり、携帯は通話契約と端末の分割払いで扱いが分かれます。それぞれの記事で詳しく解説しています。
Q. 使えなくなったカードの解約手続きは必要ですか
A. 債務整理の対象にしたカードは、カード会社側で利用停止・解約の処理が進むのが一般的です。手続きの進め方については、担当の弁護士・認定司法書士の指示に従ってください。自己判断で連絡を取ると、交渉に影響する場合があります。

まとめ
債務整理後のクレジットカードは、CICを中心とした信用情報の登録期間が目安になります。CICのクレジット情報は契約終了後5年以内、JICCの取引事実に関する情報は契約日が2019年10月1日以降なら契約終了後5年以内(それ以前の契約は当該事実の発生日から5年以内)、KSCの官報情報は決定日から7年を超えない期間と、機関ごとに違いがあります。
ただし、期間が明けたからといって発行されると断定はできません。カード会社ごとの基準で総合的に判断されますし、整理した相手の会社では社内の記録が長く残っている場合もあります。焦って何枚も申し込むより、開示請求で状態を確かめ、支払いの実績を積みながら1社ずつ試すほうが結果につながります。
その間の生活は、デビットカード・プリペイドカード・家族カード・コード決済を組み合わせれば十分に回せます。効果や期間、費用は事案によって異なります。この記事は一般的な情報提供であり、個別の法的助言ではありません。判断に迷うときは弁護士・認定司法書士・法テラスへご相談ください。
・法テラス・サポートダイヤル 0570-078374(平日9時〜21時/土曜9時〜17時)
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